発達障害サポーターズスクール

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  • 2017年6月28日
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発達障害の子どもたちに「学習支援」が必要な理由(前編)

こんにちは。
発達障害サポーター’sスクールの村中です。

今回は「発達障害の子どもたちに学習支援が必要な理由」
をテーマにコラムを前中後編でお届けしたいと思います。

発達障害の理解や支援について以前より関心が高まっている現状がありますが、まだまだ支援ニーズに供給が追いついていないのが現状です。そして学習支援領域はその中でも特に適切な支援が不足している領域の1つだと私たちは考えています。
今回は、子どもたちへの支援が少しでも充実していくために、そもそもなぜ発達障害の子どもたちに学習支援が必要なのかについてお話しさせて頂きます。

そもそもなぜ発達障害の子どもたちに学習支援が必要なのか、理由をまだご存じない方が多くおられることを私はサポスクの活動をしている中で実感しています。
このコラムをきっかけに学習支援の重要性や価値をご理解頂き、子どもたちの支援にご協力いただける方が1人でも多く増えましたらとても幸せです。

 

発達障害の子どもたちに適切な学習支援が必要な理由は、大きく考えて3つあると考えています。

 

〇発達障害の子どもたちに学習支援が必要な理由〇

 理由①:学力獲得の困難が子どもたちの不適応の大きな要因になってしまっている
 理由②:学び方の工夫によって改善できることがたくさんある
 理由③:「学び方を学ぶ」ことに最も適した支援領域が学習支援である

 

理由①:学力獲得の困難が子どもたちの不適応の大きな要因になっている現実がある

まず、1つめの理由からお話しします。
それは学力獲得の困難が子どもたちの社会的不適応、つまり生きにくさの大きな要因となってしまっている、厳然たる事実があることです。もちろん子どもたちの社会的不適応の原因となる要因は、学力不振以外にもたくさんあります。ですが、子どもたちの人生への影響の大きさという意味で、学力不振の問題は無視できない大きな課題の1つであると思います。

○発達障害の子どもたちの多数派は学力獲得困難の状態にある

小中学生を対象とした文部科科学省調査(H24)によると、全国の一般の小中学校における(発達障害の可能性が高いと考えられる)特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合が全体で6.5%いると報告されています。また発達障害の子どもたちの内訳として、学習面で深刻な困難(広義の学習障害) を抱えている子どもたちが、子どもたち全体の4.5%いると報告されています。6.5%と4.5%ですので、単純な比較割合で言うと69.2%となります。この調査結果から考えると、発達障害の子どもたちの約7割が学力獲得困難状況にあると推測されます。
また、この調査は「全般的な知的発達に大きな遅れがないこと」が調査の前提となっています。 つまり、発達障害の子どもたちは知的能力が劣っているわけではないのに大きな学力の問題を伴っている場合が多いのです。学力獲得に困難がないタイプの子どもたちはむしろ少数派であるということが予想されます。
全校生徒における、4.5%という数字はおよそ20人に1人であり、決して無視できないくらい大きな社会課題であることを私たちはまず認識する必要があると思います。

○学力不振は、単に学力が低いという状態以上の悪影響を及ぼす

そしてこの問題は、単に勉強が苦手というレベルを超えて子どもたちに負の影響を与えてしまっているように思います。
単に漢字や英単語が書けない、計算が出来ないということ自体が問題であるというよりも、「知的な能力の遅れがないにも関わらず学力不振である」という事実が子どもたちを苦しめてしまっている側面です。

○自尊心の傷つきによる二次障害の問題

最も重要でかつ深刻な問題は、子どもたちの自尊心に関する問題です。
今の時代、多くの子どもたちは起きて活動している時間の大きな部分を「勉強」して過ごしています。学校の授業、宿題、塾や家庭教師などの学校外学習などをすべて合わせるとかなりの時間と言えるでしょう。学力不振を抱えている発達障害の子どもたちにとって勉強の時間は苦痛や傷つきに満ちた苦しい時間です。分からない授業をただただ聞き続けることも、友人たちよりも低い点数や成績を毎回つきつけられることも、すべて子どもたちの自尊心を損なうのに十分な材料です。
再度お伝えしますが、ここで重要なのは彼らには知的な能力の遅れがないということです。つまり、自分が持っている能力よりもはるかに低い成果しか出せていないことを、理解し自覚することが出来る子どもたちなのです。
こういった状態が長く続くことで、子どもたちの自尊心が大きく損なわれ「どうせ出来ないし。」「ぼく(わたし)ばかだし。」などというような無気力状態に陥ってしまいます。最悪の場合は、二次障害と呼ばれる状態を生み出してしまいます。二次障害とは心の傷つきが生み出す生きにくい状態です。心の病や引きこもり、非行、犯罪など二次障害を引き超すことは子どもたちの人生に大きな負の影響を与えてしまいます。そして学力不振が引き金となって二次障害が起こる事例は、残念なことに少なくないのです。

今回のコラムでは学力不振の持つ負の影響力についてご説明しました。
発達障害の子どもたちの学力不振は子どもたちの生きにくさを生み出す要因として大きな社会課題であると捉えられます。

次の中編では。学習支援が必要な2つ目の理由「学び方の工夫によって改善できることがたくさんある」についてご説明したいと思います。

発達障害の子どもたちに「学習支援」が必要な理由(中編)

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