発達障害サポーターズスクール

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  • 2016年12月8日
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発達障害支援の学び方(後編)

発達障害サポーター’sスクールの村中です。

前回までで
①「全体像から体系的に学ぶこと」
②子どもたちの内側で起こっていること(脳や認知の特徴)を学ぶこと
についてお伝えしました。

今回は発達障害支援を学ぶために知っておきたい3つのポイントの 最後の1つである

③目に見える行動を、内側の特性と結び付けて理解し対応すること

についてお伝えします。

 

その特徴がどこからきているのかを理解する重要性

発達障害支援を内側のしくみや個性として理解する視点を持つと、次にすべきことは目に見える行動を内側の特性と結び付けて支援に活かすということが大切になります。例えば、前回もとりあげた自閉症スペクトラムの人の行動上の特徴である「視線が合いにくい」という特徴を考えてみましょう。

前回お伝えした通り、この「視線が合いにくい」という現象を単なる自閉症スペクラムの行動特徴としてだけ知っていても、どう対応すればよいのかには繋がりません。そこで必要なのは、自閉症の人の内側のどんな特性からこの「視線が合いにくい」という行動が生まれているのかという視点での理解です。

 

自閉症スぺクラム障害の人は視線を「避けて」いるのではない

実はこのことを理解するヒントは、逆に多数派の人(定型発達と呼ばれたりします)の脳がいかに他者の視線に敏感な仕組みであるかということを知っておくことにあります。多数派の人の脳の中には、「視線センサー」とでもいうべき機能を司っている部位があります。逆に言うと、このセンサーの持ち主が他者の視線を無視することはとても困難です。

例えば、「たくさんの人の中から誰かが自分をずっと見ている気がする」ということを敏感に察知し、その方向を見てしまうのが、定型発達の脳の特徴なのです。そして自閉症スペクラムの人の脳ではこの視線センサーが、あまり働いていないことが知られています。つまり自閉症スペクラムの人は他者の視線を避けているのではなく、他者の視線にあまり反応していないだけなのです。そう考えると、自閉症スペクラムの人が視線が合わないと言うより、多数派の人が視線に敏感すぎるとも言えるでしょう。

このように内側と外側を結びつけて理解することは、適切な対応をするためにとても大切なことです。
例えばある子どもさんと視線がなかなか合わない場合、こちらの視線に気づいて視線を避けている様子が伺えれば、そのお子さんが自閉症スペクラムの傾向がある可能性はとても低いです。逆にこちらの視線を気に留めていない、もしくは気づいていないように感じる場合は、自閉症スペクラムの傾向がある可能性が高くなります。

 

内側を理解することが困難の予測につながる

またこういった理解は、自閉症かどうかという見立てや判断に役立つだけでなく、対応面でも重要です。視線が合いにくいという事実から、視線に対する反応が少ない傾向があると理解すれば、お子さんの社会場面における行動の苦手さをを予想し、事前の対応を考えていくことにつなげることが出来るのです。

社会場面では、他者の視線を手がかりにして行動するようなことがたくさんあります。視線に敏感に反応することが出来るかどうかは、どのポイントを支援してあげれば良いのかについてとても役に立つ情報となるでしょう。

今回のコラムでは三回に分けて、発達障害支援の学び方のポイントについてお伝えさせて頂きました。

次回からは、また別の角度から発達障害の理解や支援についてお伝えさせて頂ければと思います。

今後もよろしくお願いします!

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