発達障害サポーターズスクール

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  • 2016年10月18日
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発達障害支援の学び方(前編)

こんにちは。
発達障害サポーター’sスクールの村中です。

今後、こちらのサポスク通信にて発達障害支援に関するいろいろなお話をコラム形式でご紹介していきたいと思います。

第1弾として、「発達障害支援の学び方」をテーマにお届けします。

 

注目の割に、支援者が増えない理由

発達障害者支援法が施行されて10数年、発達障害への関心は以前よりとても高まっています。
ですが、発達障害の支援者として高い専門性を持って活動されている人の数は社会的な関心の高まりほどには増えていないように思います。結果として、支援が必要であるにも関わらず適切な支援が受けられていない子どもたちがたくさんいることになります。適切な支援が受けられない子どもたちは、社会的な不適応状態になってしまう可能性が高くなってしまいます。全国に子どもだけで70万人程度いると考えられる発達障害への支援者不足は大きな社会課題と言えるでしょう。

ではなぜ、支援者が増えないのでしょうか?
それは、発達障害が「見えにくく、分かりにくい」障害であることが最大の理由だと私は考えています。

例えば、私は発達障害支援に関する講座の冒頭に「発達障害についてどの程度ご存知ですか?」 と受講者の方によく質問します。いくつかの選択肢をあげて挙手して頂くのですが、ほぼ変わらない1つの傾向があります。
それは、「自分なりに勉強してみたがよくわからない」という選択肢に、毎回最も多くの人が手をあげられることです。

この傾向は他の障害支援ではあまり見られない、発達障害特有のものではないかと思います。他の障害や病気の知識であれば、「勉強すればするほどわからない」「いろいろ話を聞く(読む)がいまいちピンとこない」などの答えが返ってくることはそう多くはないでしょう。

発達障害は脳や神経、認知機能の特異性が主たる特徴である、目に見えにくい障害です。そのことが、発達障害支援に関心を持って学んでいる人にとって、発達障害を理解したり支援したりすることのハードルが高いように感じてしまうことの要因となっているようです。

 

発達障害支援を学ぶ3つのポイント

では、どうすれば発達障害を適切に理解し、支援につながる生きた学びが出来るのでしょうか?

私は今までの講師や支援者育成の経験から、大きく3つの学びポイントがあると考えています。

【発達障害支援の学びポイント】
①全体像から体系的に学ぶこと
②子どもたちの内側で起こっていること(脳や認知の特徴)を学ぶこと
③目に見える行動を、内側の特性と結び付けて理解し対応すること

どれも発達障害に関する知識を支援に使える「生きた知恵」とするために大切なポイントです。

 

全体像から体系的に学ぶ必要があるのはなぜ?

まずは、1つ目の「全体像から体系的に学ぶ」についてご説明します。

発達障害に関する書籍や、講演会、講座などの、発達障害について知ることの出来る機会が以前に比べてとてもたくさん増えています。こういった機会を活用して、私たちは様々な知識や知見に触れることが出来るようになりました。

ただ、ここで忘れてはいけないことがあります。
ほとんどの書籍や講座は、受講者が「発達障害の全体像を理解している」ことを前提としていることです。

多くの書籍や講演は何らかの絞られた特定のテーマについて話が展開してきます。その為、発達障害に関する基本的な知識や全体像については省略されるか、もしくは軽く触れられる程度となります。テーマに沿った内容に時間や文字数やを割くために、これは仕方のないことです。

こういった事情から、受講者が前提となる知識を持ち合わせていない場合、講演者や筆者が言いたいことが正しく理解することはとても難しくなってしまいます。まさに勉強したけれどピンとこないということになってしまうのです。

例えば、「発達障害」という言葉自体が日本において複数の定義があることをご存知でしょうか?

実は、発達障害は少なくとも「法律、行政」での定義と「医学・医療」の定義でその内容がかなり異なっています。ここでは紙面の都合上詳細は割愛させて頂きますが、医学上の定義のほうが対象となる範囲が広いのです。

このことを知っておかないと、講演者や筆者が「発達障害」という言葉を使ったとして、それがどんな定義、意味の言葉として使っているかを知っておかないと、講演者や筆者が意図することや伝えたいことを誤解してしまうかもしれません。

こういったことを避けるためには、個別具体のテーマで発達障害について学ぶ前に、全体像の正確な理解を最初にしておくことが望ましいです。具体的には、関連用語の定義や意味の理解、関連諸状況(法律、医療、教育、福祉、雇用など)に関する基礎知識などを最低限頭に入れておく必要があるかと思います。そうすることで、様々な情報に触れた時に、これは「こういう意味(定義)で言っているな」「この法律に基づく内容だな」など前提となる状況が理解でき、理解がすすむことになると思います。

3つのポイントうち1つめのご説明をさせて頂きました。
後編では残りの2つについてお伝えしたいと思います。

それでは!

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